SEASON

3人は一言づつ感想を言うとそれぞれおもむろに動き出し、部屋の中にある楽器のところへ行く。

ドラムには茶髪の人、ベースには金髪に近い茶髪の人、マイクには丹羽さんがつく。

あたしはいまいち状況がわからなくて今から何が起こるのかさっぱり見当もつかなくてギターを持ったまままたもや丹羽さんを見つめていた。

目があった丹羽さんはマイクの調子を確かめながらまたもや微笑む。

「さっきみたいにもう一回弾いて。今度は周りの音も少しは聞いて、ね」

どういうことかと聞き返そうとした時、ドラムのバチが4回叩かれ、有無を言わさず演奏が始まった。

最初の1小節目を弾いただけで鳥肌が立った。

すごい…ギター弾いてて鳥肌が立つなんて初めて。

正確なビートを刻むドラムの上に音に深みを持たせるベースの上にあたしのギターがのり、さらにその上に透き通るような、でも存在感を主張する声が合わさる。

いつもと変わらないつもりで弾いてるのにあたしの音があたしのじゃないみたい。

体から切り離された音だけど、周りの音と一体化する。

こんな風に感じたのは初めてだ。

ふと顔を上げると丹羽さんと目が合い、歌いながら笑いかけてきた。