ＳＥＡＳＯＮ

丹羽さんにこれでよかったのか聞きたいけど人前で弾いた恥ずかしさや、あたしの技術が足りなかったのかという不安が混じりあい顔を上げれなくなった。

しん…と静まり返る中で、あたしの中の不安は膨らむ一方。

あー、泣きたくなってきた。

そもそもあたしなんでここにいるんだっけ？

なんでこの人たちの前でギター弾いてるんだっけ？

てか目の前の人たちって…？

いろんな疑問が頭の中でぐるぐるまわり、何一つ答えられないあたし自身に情けなくなって涙が出そうになる。

それを懸命に耐えていると、パチパチと拍手が一つ。

「一週間で完璧ってすごいすごい！」

反射的に顔を上げると丹羽さんが笑顔で拍手してくれていた。

丹羽さんの笑顔にすー、と心の中に安心感が広がる。

「えっ、これ一週間でやったんか??!」

「そう、一週間。楽譜渡したの丁度一週間前だし」

「…悪くはないな」

丹羽さん以外の２人も口から言葉を発した。

あたしのこと…そんなに悪い印象じゃないみたい？

金髪に近い茶髪の人は驚いてるふうだったし、普通の茶髪の人はあたしの演奏を否定は…しなかったよね？

まあまあだったって解釈していいのかな？