SEASON

そう切に願ったが、あたしが逃げ出す前に風幸は口を開いた。

「2人ともボロクソ言ってくれるな。誰のお陰で今もバンド活動してられると思ってるんだ?」

とても静かで、でもど迫力の声に2人とも風幸を見て、固まった。

「誰がその楽器の手入れ代払ってると思ってる?誰がいろいろと手配してると思ってる?」

「「………風幸」」

2人揃ってさっきまでの勢いはどうしたと言いたくなるような生気の感じられない声で静かに答えた。

「誰がお前らのプレーの暴走を止めている?誰のお陰で音楽という形を保っていると思ってる?」

「「…………………風幸」」

「わかってるなら…俺のにいちゃもんつけんな」

「「……………ラジャー」」

風幸の静かな怒りに隣にいるあたしまで背中が凍るような思いだった。

陽生と千秋は体が凍っていて顔がぎこちなかった。

陰のリーダーは絶対風幸だ。

いや、もう実質的にリーダーなのかもしれない。

まとめ役とかうまい具合にこなしてるし。

「あのー、そろそろ宜しいでしょうか」

ひょこ、と辺りの様子を窺うように顔を出した会長さんが恐る恐る声をかけてきた。

風幸が怒ってて声かけるにかけれなかったんだな。

ちょっと可哀想にも思う。

会長さんに向かってさっきとは打って変わって笑顔になった風幸が口を開く。

「いいですよ」

風幸は絶対腹黒だ…思った瞬間だった。