SEASON

「あー、肩しんどいわ、腰だるいわ最悪やわぁ。わいの相棒はもっとスリムで軽いはずやのになぁ」

ドラムを運び終えて曲がっていた腰をそらして嫌み的に千秋が呟く。

その相手はもちろん――――陽生。

「たまには動かないとな。運動は大切だろ?」

「それは陽生にも言えるやろ。わいはバスケで充分過ぎるほど動いとるわ」

「それなら俺も同じだって」

バスケ以外には動いてないくせに…とは思いつつもそれは口に出さない。

矛先があたしに向かうのは普通に考えて嫌だしさ。

「そもそもなんでバンドにドラムなんかあるんかなぁ。でかくて重いだけだし」

「お、陽生わかっとるやないか。わいもちょうどそんなこと考えてたところや」

「だよなぁ。リズム取りならちっさな太鼓とかでよくないか?わざわざこんなでっかいのにしなくてもさぁ。運ぶ身にもなってみろってんだ」

何故か途中から2人は意気投合してドラムの愚痴を言い始めた。

確かに運ぶのは大変だろうけどそこまでボロクソ言わなくても…。

あたしの思いとはよそに2人の愚痴は続いており、しまいには「今度は太鼓にしよう!」という始末。

呆れてものも言えないあたしの横に風幸が立った。

無表情に陽生と風幸の会話を無言のまましばらく見ていた。

この時普通に怒鳴り散らすより無言の無表情が一番怖いと思った。

隣に立つだけでモンモンと怒りのオーラが出ている。

…風幸が切れ出す前にここから逃げたい。