SEASON

「あれ?千秋は?風幸のドラム運ぶ手伝いしなくていいの?」

あたし意外は誰が自分の楽器触ろうが関係ないみたいだけど、ここは普通千秋が自分のベースを担いで行くものじゃない?

そうするなら自然に陽生はドラムを運ぶ手伝いをするはずなんだけど…。

「千秋ならあっちでドラム運んでる。たまには重労働しないとな」

あはは、と笑う陽生に思ったことを素直に口にした。

「陽生が楽したかっただけじゃないの?」

「あ、ばれた?まぁ、たまには楽させてくれよ」

言い方が定年間近のおじさんみたいでぷっ、と吹き出してしまった。

「笑う要素なんかどこにもないから」

と、突っ込む陽生も笑った。

普通に楽しいと思う。

こんな毎日がいつまでも続けばいいのに…と思う。

陽生から借りた帽子を目深にかぶり、陽生と共にステージ裏に移動した。

今は演目はなくて体育館の中は人がいないことになっている。

その間にあたしたちがセッティングして放送で人を集める予定らしい。

人が集まるかどうかわからないけど。

でも一応ステージの幕は降りている。

あたしは定位置の場所にギターを置いてアンプに繋いでチューニングを始める。

その横で陽生がベースをセットするところまでやっていた。

あとは千秋が自分でやることだからね。

チューニングし終わって軽く練習している所に風幸と千秋と制服を来た生徒が数人ドラムを運び込んできた。