SEASON

これのどこがおかしいんだろう。

「制服のままステージで弾いてていいのかってこと。あとあと面倒なこととかならないか?」

「………あ」

陽生に言われてやっと気づいた。

「だと思った。ほら、これ」

何だろうと手渡された紙袋の中身を見ると陽生の私服が入っていた。

「制服よりかはましだろ?」


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「そもそもさぁ、なんで高校の文化祭に出なきゃいけないの?たかがお堅い高校の文化祭だよ?」

陽生が貸してくれた服はバスケをやったときみたいにダボダボのジーパンにあたしにとっては大きすぎるTシャツだった。

貸してくれたのに文句を言えるわけもなく、それらに着替えて陽生の車に向った。

車から楽器を取り出しながら隣にいる陽生に愚痴をもらす。

「そりゃ、オファーがあったからだよ。会議室にいた女子の副会長が俺らのファンらしくて是非ってな」

その陽生もまた、車の中からアンプを引っ張り出した所だ。

「いつ頃オファー来たの?」

「んー、3週間くらい前かな?」

「はい?昨日初めて聞いたんだけど」

「そうだな、捺実には昨日言った」

「何それ」