SEASON

あたしは誰もが見てわかるように大袈裟に溜め息をついてポツリと漏らす。

「千明が変態の部類に所属するなんて…」

「わいは変態ちゃうっちゅーねん」

あたしの小声を目ざとく聞いて千秋はあたしの額にデコピンをした。

「いったぁ」

額を押さえて恨めしそうに千秋を見上げた。

リアルに結構痛いんだからね。

「今まで捺実が制服着てるとこみとったことないからほんまに高校生やっとるんかなぁ思うてな」

「何それ」

「あはは、冗談やて」

豪快に笑って千秋はこの話題を流した。

何かが少し引っかかるけどあえて蒸し返そうとも思わなかった。

話が途切れたのを見計らって風幸が声をかける。

「それじゃ、さっさと楽器運ぶか」

「あ!その前にさ」

風幸の言葉で何か思い出した陽生がポン、と手を叩いてあたしに向き直った。

「捺実、そのカッコでステージあがるつもり?」

え、なんのこと…と言いかけて自分の体を見下ろす。

うん、どこもおかしなところはない。

わざわざ生徒指導部の先生に怒られてまで校則を違反したいとも思わずスカートは膝丈だ。