SEASON

小学生が遠足の前日に明日のことを思ってワクワクするようにあたしもワクワクした。

顔についた泡を落として寝巻きから外行きの服に着替える。

今日はこれから丹羽さんが迎えに来ると昨日タケ兄から連絡があった。

お洒落とは言いにくい自分の姿を見て苦笑いせずにはいられなかった。

もうちょっとセンスよくてもいいんだけどなぁ。

その時住人を呼ぶだけのインターフォンがなった。

多分丹羽さんだと思って慌ててギターと丹羽さんから預かった紙を持って玄関へ向かう。

丹羽さんから預かった紙には題名も歌詞も書かれていない、ギターのコードとリズムしか書いていなかった。

不思議に思いながらも言われた通りに練習してきた。

「おはよーございます」

玄関を開けると丹羽さんが一週間前と変わらない笑顔で迎えてくれた。

「朝早くにごめんね。ご両親とか大丈夫?」

タケ兄から何も聞いてないのかと思いながら「大丈夫です」と言って部屋を出て丹羽さんの車に乗った。