SEASON

写真の中の2人をそっと撫で、静かに元の場所に戻した。

もう見ることができない人たち。

あたしにとって一番大切な人。

2人が居てくれるだけで他は何も望まないのに、目の前から消えてしまった。

欲張りな望みじゃないのに、普通の幸せがほしいだけなのに。

――――多分神様はあたしが嫌いなんだろう。


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ピピッ――ピピッ――ピピッ

「…ん」

布団の中から手を出してケータイのアラームを止める。

うっすら映るのは見慣れた天井。

ぼんやりする頭の中はいやに冷めていた。

あの家にいる頃のように、感情と言うモノが見当たらなかった。

けど、朝日で明るくなっている部屋で意識がはっきりしてきた。

「…夢……か」

久々に見た夢。

最近は忙しくて見る暇がなかったんだろうけど、ちょっとした安心感で嫌な夢を見てしまった。

「…朝から最悪だ」

脱力感に促されるまましばらくベッドの上で寝転んでいたがケータイの時計を見て慌てて起きた。

今日が文化祭初日だ!

それで今日で最後だからって合唱の朝練があるんだった!

だからこんなにはやくアラームセットしたんだっけ。