さっきまで友達と楽しく過ごしていたのに家の敷地に足を踏み入れると自然とさっきまでの感情が冷めていく。
自然と無表情に、何も考えないようになる。
家の廊下を歩くと必ずと言っていいくらい部屋の扉が不自然に少し開いている。
たいていはこの家の夫婦の寝室。
そして決まって聞こえてくるのは女の人の喘ぎ声。
それが時々一つではないこともある。
夫婦の夫が連れ込んだ女の人と、夫婦の妻が誘った男の人と。
「…ん、…ぁあっ……ぁん」
耳をふさぎたくなる衝動を、全ての感情を殺して自分に与えられた部屋に入る。
無表情になるのも感情を殺すのも自己防衛のため。
感情のままだったら今頃どうなってるかわからない。
壊れて自暴自棄になるか、あの人たちのようになっているのか。
この世の唯一の自分だけのこの空間に少しホッ、として棚の上に一枚だけ置いてある写真を手に取る。
そこにはウエディングドレスを着た女の人とタキシードを着た男の人が映っている。
「――――お父さん、お母さん」
実の両親は写真の中で幸せそうに笑っている。
自然と無表情に、何も考えないようになる。
家の廊下を歩くと必ずと言っていいくらい部屋の扉が不自然に少し開いている。
たいていはこの家の夫婦の寝室。
そして決まって聞こえてくるのは女の人の喘ぎ声。
それが時々一つではないこともある。
夫婦の夫が連れ込んだ女の人と、夫婦の妻が誘った男の人と。
「…ん、…ぁあっ……ぁん」
耳をふさぎたくなる衝動を、全ての感情を殺して自分に与えられた部屋に入る。
無表情になるのも感情を殺すのも自己防衛のため。
感情のままだったら今頃どうなってるかわからない。
壊れて自暴自棄になるか、あの人たちのようになっているのか。
この世の唯一の自分だけのこの空間に少しホッ、として棚の上に一枚だけ置いてある写真を手に取る。
そこにはウエディングドレスを着た女の人とタキシードを着た男の人が映っている。
「――――お父さん、お母さん」
実の両親は写真の中で幸せそうに笑っている。


