同居ゲーム

「何で帰るんだよ。」



答えない。



上手い答えが見つからないから。



「怒った？」



怒ってない。



「じゃあ何で帰んの？」



わかんない。



「ギュッってしていい？」



うん。



海斗はあたしと違って、ゆっくり腕を回した。



「ゴメンって。
ちょっといじめたかっただけ。」



そのセリフ、どっかで聞いた。



「ねぇ、由宇希。」



首を曲げて海斗を見ると優しい目があたしを見ていた。



「今日一緒に寝よう？」



え"っ。



「今日？」


「嫌？」


「嫌とかじゃなくて。
みんないるし。」


「ちぇっ。」



みんないるから何、と唇を尖らせる海斗。



理由は海斗だってわかってるくせに。



こないだ一番騒いだの海斗だし。



じとっと睨むと、海斗は肩をすくめてベッドに座った。



「由宇希、おいで。」



少しむくれつつ、あたしは海斗の広げた腕の中に座った。



「あぁ、このイチャつく時間好き。」


「これ、イチャつくって言うの？」



海斗は答えず、クスクスと二人で笑う。



と、その時ドアが開いた。



海斗の顔が引きつる。



もう、また美喜さんの悪戯？



あたしはそう思ってくるりと顔をひねった。