「そうだよね……、楽しまなきゃだよね」 俯いていた顔を上げた彼女は、悲しいのか嬉しいのかわからないような表情をしていた。 「そうだよ。楽しめよ」 そうは言ったものの、どうしてそんな顔をするのか……さっぱりわからない。 だけど、俺は家庭教師であって……プライベートに顔を突っ込んじゃいけないんだ。 そんな思いで授業を進めていくうちに、すっかり時間が経っていた。