この後璃花と二人っきり

 まさか…

 それ以上のこと

 …ないよね

 脱衣場に先に上がった璃花はタオルも巻かずコーヒー牛乳を取りに行った

 「はい♪」

 「ありがとう」

 「水分補給しないとね」

 私は、バスタオルを巻きコーヒー牛乳を受け取る

 湯に浸かりすぎたわけではないのに

 胸だけが

 異常に

 …熱い



 部屋に戻るなり、いつのまにか敷かれている布団に潜り込んだ璃花は、グッスリ。

 私は、なかなか眠りに就く事が出来なかった

 何故って?

 この狭い空間に二人でいると、さっきの出来事を思い出してしまうから。

 私は、心を落ち着かせる為に浴衣の上に羽織りを被せ、庭を散歩する事に。

 月明かりを頼りに池の周りをゆっくり歩むと人影が一つ。

 「お待ちしておりました 八重様ですね」

 「あの、貴方は?」

 「申し遅れました。わたくしは、 紅(クレナイ)と申します さぁ、参りましょう」

 「紅…さん? あの、どちらへ?」

 「わたくしの世界でございます。時間がございません、さぁ。」

 頭の整理が出来ないまま、彼女に手を取られる。

 淡い紅色の光りに包まれ、意識が遠退く。



 どのくらい目を閉じていたのか、気が付いたら夜明け前のようで東の空が薄桃色に。

 目の前は、変わりなく紅梅の木、池の周りには旅館。

 「あれ?私こんなところで寝ちゃった?」

 だけど、何かが違う

 記憶のパズルを組み立てる

 「え~っ!?」

 自分の姿を確認し、思わず叫んでしまった

 だって、だって。