この国来て、早一週間

 私は、毎日二人によって知識を取得中

 歴史の事は、学院で習ったから少しは解ってたつもり。

 だけど、教科書には書かれていない事が山のようにあるの。

 例えば、歩き方。言葉の使い方。……例をあげたらキリがないわ。

 そんなある日の事

 「八重様、大分姫様らしくなられましたね」

 「そう…かしら?」

 「ようやく貴女を逢わせる事が出来ます」

 「姉様、いよいよなんですね♪」

 「華、はしゃぎすぎですよ」

 「あの…。」

 「大丈夫ですよ、彼は少し臆病なだけですから」

 訳のわからないまま二人に連れられ、まだ一度も開けたことのない襖戸が今開く。

 部屋の中に簾が掛けられている

 「帝様、雛でございます。ご養生はいかがでございましょう?」

 「今日は、気分が優れておる」

 「それは、なによりでございます。今日は帝様に相応しい方を連れて参りました。」

 「雛殿、折角だが私は、誰とも会う気はしない」

 「いつまで子供のような事を言ってらっしゃるのですか?それでは亡き奥様も浮かばれませぬよ」

 「……。」

 「八重様、それではわたくし共は引き上げます。あとは貴女の力に掛かっております」

 「私の…力って?」

 「貴女の魅力を存分に帝様に灌ぐのでございます」
 「八重様、期待してますよ♪」

 「待って!!」

 彼女達は、静かに部屋を去った。

 って、どうしたらいいのよ

 暫く後、簾越しから声が聞こえた

 「そなた、名は何と申す?」

 「や、八重でございます」

 「八重殿、雛殿に何を言われたかは知らぬが、私は、誰ともお逢いせぬ」

 「私は構いません ですが、貴方が勇気を持たないことにはこの国の民は華を持たないことでしょう」


 千年も経ってから私が選ばれたという理由は、未だに解らない。

 だけど

 それが私に馳せられた使命なら、私は。