寝起きの目をこすりながらナツキは首を傾げる。 「なんで笑うの」 「いや、可愛いなぁと思ってね」 ナツキはなんだか不服そうに眉を寄せた。 「ごはん、作るね」 そう言ってベッドを出るナツキ。 真っ直ぐな黒髪にわずかについた寝癖。 その後ろ姿を追い掛けるように、俺もベッドを出た。 「今日はゆっくりできるわね」 冷蔵庫とにらめっこしながらナツキが言う。 「もし良かったら、映画に行かないかな」 「映画?」 「チケットがあるんだ」