「だけど選ぶ男はみんなどこか彼に似てた。あたしの中の彼はきっと消えない」


なんて、可哀相な人なんだろう。

悲しみと後悔、そして愛の渦の中でもがいている。

なんて痛々しくて、愚か。

だけど愛しくて、抱きしめずには居られない。


「もう、良いじゃないか。君は十分苦しんだよ。幸せになって良いんだよ」


頼むから、この人を解放してやってくれ。

愛してるなら、幸せを祈ってやってくれ。

ナツキは俺の背中に腕をまわし、静かに泣いた。