3時過ぎに翼からの着信。


「流奈?もう少ししたら着くよ」

「うん。わかった」


翼とデート♪楽しみ。浮かれながら翼を待った。


「あっ、エンジンの音だ♪」


あたしは玄関に飛び出し、翼に抱きついた。


「おかえり~、翼」

「ただいまぁ~!なんだか新婚みたいだな」

「ヘヘッ♪そうだね~!」

「なんかいいな、こ~いうの!」


手をつないで部屋に入った。


「流奈、俺、急いで風呂入ってくるよ」

「うん」

「待っててな!」

「早くね」


ウキウキ気分のあたしはCDをかけ、口ずさんで翼を待った。


「よぉ~し、じゃあ、出発だな!」

「しゅっぱ~つ♪」


ただ普通のデートなのに違うんだ。


翼とは違うの。


毎回毎回、感じるドキドキ感がたまらない。


「どこ行きたい?」「なに食べたい?」、今まで男にそんなこと聞かれたことなんてなかった。


翼はいつでもあたしをエスコートしてくれる。


翼と歩く街も見る景色も、なにもかもがあたしには新鮮で、翼といる世界はあたしにとって未知の世界だった。


「今日はX'masだから、どこも混んでるだろうな」

「だよね~、カップルだらけだよね」

「だよなぁ~」


車で1時間くらいして、いつも素通りしていたショッピングモールに着いた。


「今日はさ、ちょっとお洒落して歩こう」

「えっ?」

「いいから、いいからっ」

「う、うん」


翼は駐車場に車を停めると「行くぞ!」と張り切って、あたしの手を引っ張り歩きだした。