家に戻ると、すぐに料理の本を見ながらサラダを作り、唐揚げを揚げて、ハンバーグも作った。


ハート型にしたハンバーグを割れないように、そぉーっと焼いてはひっくり返した。


目玉焼きとボテトも添えて。


勝ってきたシャンパンとシャンパングラスもテーブルにならべた。


我ながら上出来だった。


昔、お母さんがクリスマスにパーティーをしてくれたときのことを自然と真似ていた。


そして、次は自分の支度。


サンタの衣装を着て帽子をかぶり、メイクした。


あとは翼を待つばかり。


「6時頃までに帰る」


朝、翼が言った言葉。


いまは5時半過ぎ。


あたしはピッチとにらめっこをしていた。


そして5時半過ぎ、翼からの電話に飛びついた。


「もしもし、流奈?」

「翼!お疲れ様」

「ごめんな、遅くなって。あと10分くらいで着くから!そしたら、ご飯でも食べに行く?」

「わかった。待ってるね!」


あとじゅっぷん♪♪


誰もいない部屋でひとりウキウキがとまらなくて笑ってる自分がいた。


あたしは電気を消して飾り付けた電球とツリーをライトアップした。


そして手には買ってきたクラッカーを持って、部屋のドアの隅で静かに待った。

帰ってきた!


駐車場に響く翼の車の音。


翼の足音が近くなるにつれて、心臓が高鳴る。


あたしは息を飲んで、翼がドアを開けるのを待った。


ガチャ♪♪


その音と同時にあたしはクラッカーを引いた。