「だからな、俺は流奈をそうさせたくはなかったんだ。俺のように孤独になってほしくなかった。危ない目にもあってほしくなかったんだ」

「翼……。ごめんなさい」

「俺はもう失うものなんてなくなったんだ。でも、流奈と出逢えて、幸せを初めて感じたんだよ」

「翼、ごめんね。流奈、なにも知らないで……。ごめんね」

「ビビった?嘘だよ。いまの話、全部うっそ~!」

「嘘なんかじゃないはずだよ。翼は嘘つかないよ」


翼は笑っていた。


あたしは翼から絶対離れない。そう、この日に誓ったんだ。


翼は寝転がって空を見た。


あたしも翼に寄り添って空を見た。


「奇跡かな?こんな俺に神様はすごい幸せを与えてくれた」

「奇跡かな?こんな流奈に神様はすごい幸せを与えてくれた」

「アハハハッ♪真似すんなよ、流奈ぁ~」

「翼が流奈の心を読み取って真似したんだよ~」

「なわけねぇだろ~!」

「奇跡だよ、奇跡だよ!翼!流奈と翼が出逢えたことは奇跡だよ」

「あの日コンビニ行ってよかった~」

「コンビニの帰りだったの?」

「うん。あのとき無性にアイス食いたくなって」

「ハハハ♪アイス?」

「いつもは面倒くせぇから絶対行かないのにな」

「やっぱり奇跡だぁ」


笑いながらふたりで寄り添って、ただ星を見ていた。


「もう少しでX'masだね」

「そうだなぁ~」

「一緒に過ごそうね」

「一緒にいてくれな」


空を見上げ、星に誓うように、同時に言って笑い合った。


ふらりでいると笑いが絶えなかった。


「今日は無理言ってごめんな。家帰って寝ようか」

「うん」

「次は春だな」

「でも春は遠いよ」

「じゃ、また今年中に雇用!」

「必ずね!」