「翼?」

「本当……、バカだよ、流奈は。もう逢えないけと思ったじゃねぇかよ……」


翼は泣いて声も震えていた。


「ごめんね?翼……」

「待ってたんだ。毎日、仕事終わってから、この公園で。流奈は絶対来てくれるって信じてた。なのに全然こねぇーし、終わりかと思ったよ」

「翼、毎日来てたの?」

「うん、だって流奈、いつ来るかわからねぇし。来たときにはいたかったから」

「あたしは……、海に行った」

「海?ひとりで?」

「うん」

「あぶねぇーだろ!なんで行ったの?」

「ごめんなさい……、バイク」

「はぁ?単車?原チャ?」

「原チャ……」

「ばぁぁか!遠かったろ?ひとりで行くなよ……、冬の海はまだふたりで行ってないのに」

「ごめんね。でもね、星見えなかった。翼と一緒じゃないから、星見えなかったの」

「俺もだよ。毎日ここに来て空見上げたんだけど、天気悪かったせいか、一度も見られなかったんだ。流奈がいないと見えないんだって、思ったよ」


同じことして同じこと考えてたんだね。


「ほら、今日の空を見てごらん」


翼と一緒に見上げた夜空に光る星はとても綺麗だった。


「だから今日……、もしかしたら流奈が来るんじゃないかって思ってた」


あたしはジャングルジムに登った。


「翼?綺麗だよ!!」


翼も勢いよく登って空を見上げた。


「綺麗だ……」


あたしたちは微笑み合い、そしてKISSをした。


もうバカな真似はしない。


翼の手を放さない。


そう強く決意しながら翼に抱きついた。