「わりぃ〜ね!しょぼいヤツらに無駄な体力使うのどうかと思って」


ーーバンッーー


「いてぇ〜な!このクソガキがぁ〜!」


ーードスッーー


「いててっっ」


秋菜のねぇちゃんも、あたしの蹴りかえしてきた。


久々のケンカ。もう二度としないって決めたのに。


翼との約束だったのに。


やっぱり一度道を外れたヤツは元の道には戻れないんだ。


そう思いながら殴りかかった。


「ねぇ?殺されたい?妹に言っておいて。ヨロシクねって」


あたしは最後に蹴り飛ばした。


「あ〜いてぇ!久々に殴られたな」


昔のようにケンカに勝っても、心は晴れない自分がいた。


「てめぇ、死ねよ〜!」


後ろを振り向くと、おとなしそうな別の女がカッターを持って走ってきて、あたしの目で振り上げたまま止まった。


「なんだよ。やりたきゃやれよ。早くやれよ!」


そう言うと、軽くあたしの顔を切り付けた。


「痛っっーーー」


顔をなでたら、手に血がついていた。


血を見ると騒ぎだすあたしの心。


「スゲーじゃん!上等だよ!!」


女は血を見て震えていた。


「それ貸して?」


手を出しながら女の手首を反対にひねった。


鈍い音とともに悲鳴があがった。


「おあいこだね!やるなら最後までやらないと」


あたしは顔を押さえて帰った。


あたしはイッちゃっていた。


いつからかケンカになると自分をおさえることができなくて、限界を知らなかった。


自分でも怖かった……。


家に着き鏡を見ると、頬から口にかけて血がにじんでいた。