先生たちは3台の単車を追いかけていた。


「バカじゃねぇの」


あたしはそっと立ち上がり、教室を出た。


単車で乗りこんできたのは、みんな女。


もうわかっていた。女たちがなにを求めていたのか。


下駄箱のところに着くと、校門の近くをうろつく女が5人いた。


「おい、クソガキ!ビビってんのかよ!出てこいや!!」


あたしの姿を確認し、口々に叫び始めた。


その言葉にあたしは冷静さを失い、近くの掃除道具入れに隠しておいたバットをつかんで校庭へ向かった。


「おい、やめろ!いい加減にしろ!!」


担任や先生たちが、あわててあたしを止めようと走り寄ってきた。


「うるせぇーよ!近づくんじゃねぇーよ!!」


力が入り、握っていたバッドを振りかざした。


「お~、いい根性してんじゃねぇかよ!」


ふと校舎のほうを見ると、どのクラスのヤツら窓から覗いていた。
  

「いい見せもんだよ……」


つぶやきながら女たちに近づくと、女たちも単車から降りて、あたしのほうにゆっくりと歩いてきた。


「流奈!やめてぇ~!!」


振りかえると理恵が叫んでいた。


その瞬間、いっせいに5人くらいの先生たちに取り押さえられた。


「放せってんだよ!」


女たちも先生たちに取り囲まれていた。


「いてぇーよ!わかったら放せよ!」


あたしは目の前にいた担任の村上を蹴り飛ばした。


「わかったから話だけさせろよ」


そして、あたしにすごい睨みをきかしている女の元へ走った。


「てめぇ~、いい根性してんなぁ~。誰だよ!」


胸元を掴んで言った。


「あたし?秋菜のねぇーちゃんだよ!妹かわいがってくれて、ありがと!」


秋菜……?あぁ、この前ケンカした女か……。


「ぁあ、あの女ね。わざわざ足運んでもらっちゃって悪いね?」

「てめぇ~、くそガキが!」


あたしはバカにしたように笑った。