翼は毎日、仕事が終わると逢いに来てくれた。


土曜日の夜だけ翼の家にお泊りしていた。


翼に恋してから、なんだか優しくなれた自分がいて、そんな自分が好きだった。



もう季節は秋。翼と出逢ってから、ふたつ目の季節ーーーー。



「流奈はえらいなぁ、ちゃんと約束守って」

「かなり頑張ってるよ。だって翼との約束だもん」


放課後、理恵と遊んでても、無免でバイクに乗ることもなくなった。


からまれてもケンカしないで逃げた。


窃盗も万引きも恐喝もすべてやめた。


電波いに集会に誘われても断って、男友達から誘われても行ったりしなくなった。


全てが変わってきた。


翼と出逢ってからーーーー。


その日も翼と一緒にいた。


「なぁ……、流奈?」

「なぁぁに?」


座っているあたしを後ろから包みこむように抱いていた翼に聞かれて、振り返る。


「俺たちさ、出逢って2ヵ月くらい経つな」

「そうだね!早いね」

「うん……」

「どぉしたの?」

「流奈は俺といて楽しい?幸せ?」

「うん!すごく幸せ。翼に出逢えたことを神様に感謝してるよ!」

「本当に?」


不安そうな翼の顔……。


「どうしたの?」

「不安なんだよ。流奈かわいいし、俺といて幸せなのかな・・・…って『ほかの男のがいいのかな?』とか、いろいろ考えるんだ」

「翼……」


あたしは翼の顔に手をあてKISSをした。


「なに言ってんの~。翼だから幸せなの!翼じゃなきゃダメなんだよ?」

「流奈!」


翼はあたしを思いっきり抱きしめてくれた。


力が強くて……、翼の不安を体で感じた。


翼が愛おしい。そう心から思った。


「俺、どんなことあっても流奈から離れないから!ずっと……、ずっと愛してるから」

「流奈もだよ」


あたしは思いっきり微笑んだ。