泣いているお母さんに、あたしはなにもできないまま、ただ隣に座った。


あたしは……、どうすればいい……。


翼がいなくなったあたしは、これからどうやって生きていけばいい?


翼に逢いたい。


翼の顔が見たい。


翼ともう一度、笑い合いたい。 
 

叶うことのない願いをひたすら考えていた。


翼、どうしてあたしひとり残して逝っちゃったの……。
 

あたしがひとりじゃダメなことくらい、翼が一番よく知ってるのに。


「つばさぁ~!!」
 

あたしはベッドの上で泣き崩れた。


届かぬ願いを、何度も何度も繰り返しながら……。





しばらくして、あたしは支度をはじめた。


告別式――。
 

今日で本当に最後。
 

あたしは顔を出すことができない。


でも、少しでもいいから翼の近くにいたい。
 

あたしの頭の中は、翼、翼、翼……。


ただそれだけだった。
 

翼の最後を見送りたい。


少しずつ現実と向き合おうと、どこかで必死な自分がいた。