あたしは、翼とはじめて出逢った公園に行った。


「ねぇ、翼、ごめんね。行けなくてごめんね。でも、あたしが顔出す場所じゃなかったんだよね。バカだよね……、あたし」


ピッチはお兄ちゃんと理恵からの着信で埋まっていた。


あたしは電源を切ってポッケにしまった。


「翼と出逢ったときは、まだ夏だったから風が気持ちよかったけど、もう寒いよ……」


冬の公園の雰囲気は、あのときとは随分違っていたけど、空を見上げると、あのときと同じようにきれいな星空だった。
 

翼があたしを見つけてくれた公園。


翼がひとりで登って、星を見ていたジャングルジム。
 

あたしを待ちながら寝転がっていたベンチ。


あたしたちのすべてを知ってる公園なのに、いまはあたしひとり……。
 

ううん、いまだけじゃない、これからもずっと。


もう二度と翼と一緒にこの公園に来ることはないんだ。



“あんたが殺した”



そう、あたしが翼を。


大好きな翼を……。


どうして?どうしてあたしが生きつづけてるの?あたしが生きてる意味なんてないのに。
 

翼のお通夜が行われた日は、すごくきれいな星空だった。


まるで空が翼を迎えてくれるかのように。
 

あたしは公園の砂に翼へのメッセージを書いた。


 
またふたりで来ようね☆


 
そして、公園をあとにし、ひとり家までの道をゆっくり歩いた。