いつの間にか、あたしは公園にたどり着いていた。


ここがどこなのかもわからなかった。


ベンチに腰を下ろし、顔をなでると腫れ上がっていた。


口の中に広がっていた血の味はなくなってきたけど、口を開けると痛みが走った。


きっと酷い顔をしているんだろうな


あたしは水道で顔を洗った。


夏の風が冷たくて、なんだかとても心地よかった。


「ねぇ?」


そのとき、うしろから声が聞こえた。


「なに?ってか、誰?」

「誰……って、俺もお前を知らないんだけどさ」

「はぁ?」


突然、現れた男に見られないように伏せていた顔を、思わず上げた。


あたしより少し年上と思われる男は、いかにも暴走族に入ってますと言わんばかりの、いかついヤンキー顔で。


だからなのか、あたしの顔を見ても驚きもせず、ただ、じぃ~っと見つめていた。


「見んなよ!」


そう言うと、さっきとは別人のように優しく笑い、去っていった。