ごめんなさい。


心の中で謝りながら、あたしは部屋の片づけをした。


翼のために、喜ぶ顔を見たいがために、一生懸命飾ったクリスマスのときの飾りも片づけた。



“部屋はしばらくあのままがいい”



仕事へ行く前に、あたしに書いてくれた手紙。


あたしがあの日、事件が起きて翼から離れようとしてから、また翼とこの部屋に戻ってきたときにも片づけられてなかった、


クリスマスのときの飾り。


あたしは涙ながらに片づけ始めた。


「翼?ごめんね、片づけるね」


どうしてかな。


あのときは幸せいっぱいで飾りつけたはずなのに、あの幸せだった日々から、まだ1週間も経っていないのに。


いま、あたしのそばには翼がいないんだ。


飾りつけを片づけたあと、部屋を見まわした。


たくさん撮ったふたりの写真。


まだ現像していないカメラが部屋のテーブルの上に乗ったままだった。


「翼、現像してくるからね」


あたしはカメラをバッグに入れた。


ゲームセンターで翼にとってもらった、たくさんのぬいぐるみをひとつずつ、もう誰も寝ることのないベッドの上に並べていった。


なかにはすごく欲しくて欲しくて、やっと取ってもらったクマのぬいぐるみがあって、


それを必死に取っているときの翼の横顔が思い出された。


「翼、これだけは家に持って帰っていいかな。いいよね……?」


あたしはギュッとクマのぬいぐるみを抱きしめた。


それから、翼が大好きだったCDをセットし、なかでも翼が大好きで、寝るときにはいつもかけていた曲をかけた。


あたしはその歌を口づさんだ。


いつもなら翼が唄っていたのに。



もう聴こえない。


もう聴けない……。