泣かない


あたしがいけないんだ


罰が当たったんだ……。


絶対泣かないんだ!自分にそう言い聞かせた。


でも、勝手に涙が溢れた。


なんの涙なのか、自分でもわからなかったけど、ただ溢れ出してきた。


親はあたしに呆れ、いつだって冷めた目つきで文句ばかり。


いい子じゃなかったら、もういらないの?


弟はいつだって、あたしに脅えている。


そんな記憶しかない?たくさん可愛がって遊んであげたのにね。


言えでは暴れ、外では悪さをして警察のお世話ばかり。


自分の名が売れていくことに優越感を覚えた。


なにが楽しいのか、なにがしたいのかなんて分からなくて。


それでもあたしはここにいるんだ。


あたしの存在が消えることに脅えていた。


だから、あたしはどんな形だっていいから証明したかったんだ。


気づけば家族に見放され、友達も離れていき、なにひとつ得たものなんてなかった。


全てが失われ、気づいたらひとりだった。



「ばっかみたい……」



涙が止まらなかった。


あたしは、ただただ、あてもなく歩いた。


あたしだって、本当は弱いんだ。


そんない強くなんかない。


頭が痛い……

足が痛い……

全身が痛いよ……。


それでもただ歩き続けた。


自分がいけないんだ、自ら道を踏み外したから。


なにもない平凡な毎日だったのに。




でも、あたしはもう戻れないーーーー。




前の自分にさえ、前の環境にさえ……、


もう戻れないところまで来ちゃったんだ。