最後に長い長いKISSをした。


「翼、愛してるよ……」


あたしは翼の指からペアリングをはずし、あたしがあげたネックレスにつけると、そのネックレスも取り、自分の首にぶらさげた。


そして振りかえらず部屋を出た。


部屋の前には座りこんでいるお兄ちゃんがいた。


「流奈ちゃん……」


お兄ちゃんが立ち上がり、あたしを支えてくれた。


「ねぇ……、翼の部屋に帰りたいの……」


お兄ちゃんは笑顔でうなずいた。


病院の外へ出て、空を見上げた。


翼が亡くなった日の空には、とてもきれいに星が輝いていた。


翼とじゃなきゃ見られなかったはずなのに、きれいな星空だった。


「翼?星きれいだよ……」


空を見つめながら、あたしはまた涙した。


ひとりでも見えるんだ……。


そう思うと、すごく孤独を感じた。


お兄ちゃんはなにも言わず、あたしを見ていた。


あたしはお兄ちゃんに気がつき、車のほうへと歩いた。


そして、ふたりとも黙ったまま家に着いた。