「…理由はあたしがちゃんと説明する。」
沙穂子が遠慮がちに提案してそれに菅波が頷いた。
それでこの案件は解決したわけだが。
「……。」
2人が去ってからも
ギャラリーが散ってからも
授業が始まってからも
相変わらず希良は机に突っ伏したままで動く気配がない。
(総合の時間で自習だから問題ないが。)
…ここまで追いつめられていたのか。
希良の頭をなでながら思う。
さすがの美音も気がつかなかった。
大好きな吹奏楽部と
…自分で言うのもなんだが
大好きな幼なじみとを
天秤に掛けるプレッシャー、
葛藤などなど。
その選択は辛いものだったろうな。と、今さら気がついた。少し反省する。
でも、
でもね、
あたしだって
この部活に賭けてるのよ。
希良は嫌いかもしれないけど
合唱って楽しいのよ?
その日、放課後になってからやっと希良はみんなと口を利いてくれるようになった。
澄んだ高音、
正確な音程、
それでも
死んだ目で歌い続ける彼女。
でも希良が目醒めたのはそう遠い先でもなかった。


