気がつくと歩美は足が勝手に走り出していた。

無意識だった。

部室のドアを開け、大きな声で謝罪していた。


「すいませんでした!!
 これからはどんな練習でも食らいついていってやります!
 だからどうかこの部に残らせてはいただけないでしょうか…?」


部室はシーンとした。希良もきょとんとしていたが、やがて笑顔になった。

「どんな練習にも…だな?」

「はい…!」

噛みつきそうなくらいの気迫で歩美は返事をした。

「どうする?菅波。」

「俺じゃ判断しかねる。
 おまえが決めろ。」

菅波はポンと希良の肩を軽く叩いた。

「…許可するしかないでしょ。
 自分のかわいい後輩なんだから。」

希良は歩美の頭をグシャグシャっと撫でた。

「ありがとうございます…!」

歩美は再び深く深く頭を下げた。

この日を境に部活全体の雰囲気か変わり始めた。

確実に。