「コンクールって…」
「あたしたちの演奏が評価されるってこと…?」
「だって…たった一度の演奏でそんな…」
希良も焦ったように遙に言った。さすがの菅波も動揺を隠せない。
「本当ですか、それ。」
「本当どころか本気です。」
「いいですね、それ!」
「「えっ…」」
全員が一斉に振り返る。
希良は声の主が周りにもわかるように声をかけた。
「下倉……」
「いいじゃん、それ!」
「実力が伴わないのに?」
「それとこれは別。
やんないで逃げんのは俺の音楽道に反する。」
「でも…」
「やってみよ?
ダメな結果なんて絶対にねーよ。
やることに対して、悔いは残らねぇはず。」
「んー……」
「…じゃあやってみる?」
遠慮がちに声を出す。希良が驚いてそちらを振り返った
「菅波まで…」
「じゃあ、決まりかな?」
遙がそう微笑みかけた。
が、
「俺はパスだな。」
2年生の男子が言った。
「俺は楽しく楽器吹きたい。
コンクールは厳しいイメージあるし俺はパスだな。」
「うん、何か面倒くさそう。」
横にいた女子も言った。
こうなると収集つかないもので、部室のざわめきは増す一方である。
「練習で夏休み返上だろ?」
「えー、あたしはやだなぁ。」
「あはは、あってもサボるっしょ。」
「あぁ、それ言えてる〜」
―「おい、」
その時、今まで黙っていた石橋が口を開いた。


