絆創膏が巻きついてる指にはぁっと息をかける。

3月といえど、まだ寒さが残っている。コートは相変わらず手放せないし、体育だってまだジャージ。

「コーハイ!」

また、このパターンか。

あたしは昨日同様振り向き、

「誰っすかあ」

ダルいオーラを解き放ってそう言った。

先輩が声をかけてくれるのは嬉しいけど。
こういう時って、必ず美穂先輩がくるし・・・それに、連日会話できるなんてこれ以上ない奇跡で、何か嫌な事あんじゃないかって不安がある。

あたしが不安の渦を巻いてる事なんて知らずに、いつも通りの笑顔を見せる先輩。

「相変わらず変な顔だなー。顔だけでお笑いできるんじゃね?」

・・・失礼のカタマリだこの男。