「貴子…何…気張ってんの?」 則子が横からあたしの顔を覗き込んでいる。 今にもあたしの目の前で掌をひらひらさせそうな雰囲気だ。 「へ?あ…いや何でも無い」 けほんと、一つ咳払いをしてあたしは則子に向き直った。 「じゃ、約束の物は渡したって事であたしの役目は此処で終了と言う事で」 あたしはにこやかに則子に右手を振ると肩の荷と言うか憑き者が取れたと言うか晴れ晴れとした気分に成った。