朝食分も合わせて多めに食った俺は、部屋に戻った。


クソ暑い……

まだ八月にも入ってねえのに、なんだよ、この暑さは……


勉強机の椅子に座って、うちわで扇ぎながら仰け反った。逆さ向きで日向の部屋が見えた。


まだ帰ってねえのか、日向……

今日は一日中部活なのか?


その時、日向の部屋のドアが開いた。制服姿の日向が入ってきた。


こっちに気付くか、日向…

日向は、机のところに鞄を置いた。


気付かねぇか? 気付かずに着替えに入っちまうのか?


別に俺はそれでもいいけど。

って思ったら、ふとこっちに顔が向いた。


目が合った。日向はちょっとびっくりした様子でこっちを見てる。


俺は、日向に向かってひらひらとうちわを振ってみる。

すると日向も笑って手を振り返してきた。


俺は体勢を戻して立ち上がり、窓辺に行く。


「よぉ」

窓を開けて、手を上げて声をかけた。

日向も窓辺に寄って、窓を開ける。


「やっと起きたの? 寝坊助少年」

からかうように日向が言った。


「なんだよ。誰も寝坊したなんて言ってねぇだろ」

そう言うと、日向は俺を指差す。


「遅くまで寝てなきゃ、そんな頭になんない」

頭? ……あぁ、寝ぐせのことか。


「そんなひどい?」

「芸術的。何でそんな風になるのか分かんない」

そこまで言うか。


「写メ撮っとくか?そんな貴重なもん、待ち受けには最適だろ」

俺は冗談で言ってみた。