──・・・南川吹奏楽部。
全国大会18回金賞経験。
名門中の名門校──・・・。


「おおおっ・・・」

わたしは、吹奏楽部の部長に会うために部員に案内された隣の音楽準備室で待っていた。

そこには吹奏楽部の優勝した時のトロフィーや盾がズラリと並んでいて・・・。

「すごい・・・」

わたし、ここの吹奏楽部に入れるんだ。

そう思うだけですごくドキドキした。


ガチャ。

ドアの開く音が聞こえてふと振り返るとそこには部長らしき男の人が立っていた。

「山本さんですか?」

男の人特有の低い声が響く。

「は、はい」

「吹奏楽部部長の3年、櫻井篤です。よろしくお願いします」

と櫻井先輩はペコリとお辞儀をする。

わたしもつられて慌ててペコリ。


櫻井先輩は髪の毛が短くて、サッカー部にいそうな爽やかな印象を持つ先輩だった。

先輩はパイプ椅子に腰を掛け、どうぞ、とすすめてきたので私もパイプ椅子に座った。