君が為に日は昇る

「いやいや。久しぶりですねぇ貴方とこうやって立合うのは。」


風が、断ち切られる。決して速くはない鎖分銅の回転。


「何年ぶりですかねぇ。いやいや嬉しいことだ。運命ですかねぇ。」


それが与える、底知れぬ圧力。


初めてではない。過去に何度も味わった圧力。そして未だにそれは目の前に現れる。


「気持ち悪いこと言うんじゃねぇよ…。」


甦る記憶。


彼らの出会いは昔、上条がとある藩の臣下として働いていた時のことだ。


隠密もさることながら、護衛としても既に藩から絶大な信頼を得ていた上条。


ある日彼は、藩のある重役の護衛を頼まれた。


簡単な任務だった。歩いても一刻に満たない距離の送迎。


すぐに終わるものだと思っていた。その男が現れるまでは。


それは一瞬のことだった。


突如目の前に現れた男が放った鎖分銅による一撃。


瞬時に上条が反応したことにより際どく命だけは免れた重役。


しかし上条にとって、それは初めての任務失敗。


勿論、お上はそれを良しとしない。当然、暗殺者討伐の命が出る。