郁は、あたしと同じ日に生まれた。同じ母の胎内から、ほぼ時を同じくしてこの世に誕生したあたしたちは、ずっと、ずっと一緒だった。
何をするにもどこにいくにも、いつだって一緒で、あたしたちは2人で1人なのだ。
郁はあたしだ。

だから、あたしが生きているんだから、郁が死んでるはずなんて、ないのだ。


「高沢さーん、高沢さん!○○テレビです。インタビューに答えていただけませんか」


あたしの意識がとろとろと沈み込んでいた暗闇から引きずり出された。けれど、まだどこか意識は霞がかったままだった。

郁とあたしが二人きりで住んでいたマンションの押し鈴が何度もせわしなく押される。そこから興味本位の悪意と、自分勝手な正義が突き刺さってくる。

郁が、汚される。