その声は優しく深いはずなのに僕の心には何かが刺さったみたいだった。 ―僕には帰る場所がないのだから。 「泊まっていきなさい。」 僕は思わず振り返ってしまった。 「君が泊まれるくらいの部屋なら空いてるよ。」 おじいさんは言いながら穏やかに微笑んだ。 僕は何だか泣きそうになってついこう答えてしまったのだ。 「……はい。」 泥棒した上に迷惑をかけるのがいけないことだとはわかっていたけど、 人から久しぶりにかけられた優しい言葉と広い心をもったおじいさんにまた甘えてしまう自分がいた。