「今日は体育祭でやるクラス対抗リレーの選手を決めます」




１週間後、本番を迎える。




次から次へと行事があって、目も回りそうな程の忙しさ。




放課後、先生と一緒に仕事してても、仕事の会話にしかならない。




でも…その方がかえっていいのかもしれない。




離れてるって忘れさせてくれるから…




リレーの選手は結局、体育の授業でやった５０Ｍ走のタイムが速い人に決まった。




何故か私も選ばれちゃってるし…




リレーのアンカーは、各クラスの担任と昔から決まっている。




だから、若い人が担任だとすごく有利だ。




今年は、このクラスでの優勝ありかも。




選手の名前と、走る順番を黒板に書く。




その時、忘れかけてた名前が、後ろから聞こえてきた。




「今年は、葉山先生が来るってよ。田上、覚えてるだろ？」




チョークが折れた…




出来れば思い出したくない名前。




「うん…」




「誰？」




「俺らの中学の時の担任。マジ、カッコいいから惚れんなよ」




「えー！！見たい」




そんな会話を、ただ黙って背中で聞いていた。




お願いだから…私には話しを振ってこないで…




「上原も覚えてるだろ？」




梨華と目が合う。




梨華と私しか知らない事。




「うん…」




葉山 謙吾。私の元カレ。




初めて好きになって…




初めて付き合った人。