始業式。

春はまだ遠く雪が残っている。そんな例年の景色とは
全く違って、今年は
桜吹雪の中の始業式。
前を歩く人の背中に
こっそりとまっている
桜に微笑ましくなる4月。
私はこの高校に入るため
引っ越しをした。

私を知らない。
誰も私の過去を知らない。
少しの不安を覚えつつも
校舎を前にすると
そんな事も忘れ
校舎の時計を目にする。


「邪魔」


後ろから声がして
振り向いてみたら
見知らぬ男。
いや皆見知らぬ人
なんだけどね。


「…ごめんなさい」
とりあえず謝る。


「退けろよ、チビ」
男はそう吐き捨てて
校舎に入って行った。