アルゴスと名付けたその珠が、晶の意識に語りかける。

『晶、そろそろ同調を解除した方がいいよ。疲れてきたんじゃない?』

 中性的な声が、晶の心に響く。

『あんまり長く同調してると、外れなくなるよ』

「せやな。ほな、解除」

 晶が触れると、珠は光になってブレスレットから飛び出して人の姿になる。

 光がおさまると、ウインドブレーカーを着た長身の青年が立っていた。

「なんや、もさいカッコやな」

 晶が言うと、アルゴスは平然と言い返す。

「僕の姿は、晶のイメージを投影しているんだ。つまり、この外見は晶の描く男性像だよ」

「ウチ、そない稀代な趣味してへんよ。それより自分、出て来るん遅すぎやな」