「私も驚いたんだけど、紅葉はツッコミの才覚あるわ」

「見てみたいような、みたくないような…」

 どんな展開になるか、興味はある。

 同時に、あがり症の紅葉が人前に立つことに不安もある。

「大丈夫かなあ…」

「集中すると、意外とタフになるみたいよ」

 李苑は言いながら帰り支度をする。

「じゃあ店長、お先に失礼します」

「地区予選、がんばってね」

 同じくお笑い好きの店長は、駆け出す李苑に手を振る。

「漫才って、面白いの?見たことないなあ」

 闇珠が津也の袖をくいくい引っ張る。

「ああ、面白い。機会があったら、見に行こう」

 闇珠とこのまま一緒にいられるなら、行きたい所もやりたい事もある。