空の神衣

 二人は、津也行きつけの衣料店に向かう。

「手頃な値段で出物があるんだよ、ここ」

「ふうん。可愛いドレスあるかな」

 闇珠は上機嫌だ。

「ああ津ちゃん、いらっしゃい」

 店に入ると、筋骨逞しい中年男が会釈する。

 なぜか服装はチャイナドレスだが。

「いらっしゃい闇珠ちゃん、可愛い服が入ってるんだけど、着てみる?」

 記憶操作の効果か、闇珠の存在に疑問を持ってはいない。

「え~どんなの?見せてヒデミちゃん」

 初めて会う店長のあだ名を闇珠が知っていたことに、津也は驚いた。

(自分の記憶まで同調させられるのか)

「素敵なドレスがあるわよ。きっと闇珠ちゃんにお似合いよ」

 店長は青とグレーのドレスを持ってきた。