空の神衣

「これが、何?」

 闇珠はいたって平然としている。

「…いや、いい」

 聞いてはいけない気がして、津也は言い淀む。

 しばらく、津也が髭を剃るシェーバーの音が響く。

 ウィン

 余韻を残してモーターが止まる。

「ん…そろそろ刃がなくなってきたかな」

 顎をさすり、津也がつぶやく。

「津也、学生でしょ。授業はいいの?」

 着替えを済ませた闇珠が言うと、津也は手をぱたぱた振ってみせる。

「一日くらい休んでも、大したことないさ。今日はお姫様の服を買いに行くんだから、授業どころじゃないさ」

「お姫様?」

 闇珠はおどけて笑う。