空の神衣

 そして、夜。

「ん~…」

 かなり疲れていたはずなのだが、津也は熟睡できずにいた。

 ふと窓の外を見ると、闇夜の中を更に黒い何かがうごめいていた。

 その何かは、やがて津也に向かって手を伸ばしてきた。

「む… 」

 津也は黒い手をかわそうとするが、体が全く動かない。

 すると、津也の前に誰かが立ち塞がる。

『だめ…彼には触れさせない…』

 聞き覚えのあるような女の声だった。

 そこには、津也と同年代の女が立っていた。

 知らない顔だが、どこかで会ったような気もする。

『大丈夫…あなたは私が守るから』

 そう言われたようだった。

 やがて夜の闇が静けさを取り戻すと、津也は深い眠りに落ちて行った。