空の神衣

「でも、消さなかった」

 闇珠は津也の前に回り込む。

 そして、無言でじっと見上げる。

「そうだ。闇珠の言う通り、俺が生きてる証だからな」

 ふ、と笑うと、津也は言った。

「背中、流してもらおうか」

「うん」

 闇珠も、満足気に笑った。

 この後、背中を流しに入った闇珠が転びそうになったり、助けようとした津也と頭をぶつけたりと、ひと騒ぎがあったのである。