空の神衣

 闇珠を警戒していることに変わりはない。

 だが、あくまで本人は津也を気遣っているだけだ。

「流すぞ。下向くなよ」

 闇珠に上を向かせ、髪の泡を流す。

 闇珠は共に戦う同志なのだ。

 同志を信頼できなければ、勝ち残ることなどできない。

 それ以上に、主催者の思惑と闇珠の意志と、全てが繋がっているわけでもあるまい。

 今ここにいるのはツールではあるが、『闇珠』なのだ。

 そもそも、主催者の思惑に乗ったのは自分の意志だ。

 今は、戦いのことはひとまず置いておこう。

「しっかり拭けよ。着替探してくる」

「津也の服でしょ?ブカブカじゃない」

 闇珠の顔に、作為の色は全くない。

「文句あるか」

 振り向いて言うと、

「ない」

 これでもか、といわんばかりの笑顔で答える。