闇珠の存在が自分の中で大きくなれば、それだけ浸蝕を受けやすくなるのではないか。

 闇珠の行動は、そこまで計算してのことかもしれない。

 自分のネガティブな考え方に幾度となく救われてきた津也は、どうしても猜疑心を捨てることができなかった。

「♪♪~♪~♪~♪♪」

 浴室から聞こえる闇珠のハミングが、さらに津也の心を深く沈める。

(つくづく外道だよな、俺も)

自嘲すると、津也はバスタオルを持って浴室に戻る。

「頭、洗ってやるよ」

 闇珠はバスタオルを受け取りながら、寂しげに笑う。

「一緒に入りたかったんだけどな」

「さすがにまずいだろ、おこちゃま相手でも」

「津也の方よ、おこちゃまは」

 闇珠はバスタオルを体に巻くと、座椅子に腰をおろす。