呆れ顔で言う津也をよそに、闇珠はリボンをほどいていた。

「大事にしたいんでしょう、穏やかな時間」

 日溜まりを思わせる闇珠の笑みに、津也はそれ以上何も言えない。

「ドレスとか着てみたいな。フリルいっぱいついてるの」

 闇珠は本心から気遣っている。

 それが分かるだけに、津也は何も言えなかったのだ。

 しかし。

 そんな時でも、津也は冷静だった。

 闇珠に気を許すな。

 津也の本能が警鐘を鳴らす。

 アルベルトの惨状が脳裏に焼き付いている。